2015年10月20日

10/20 アメリカこぼれ話38 マックバーガーのルーツは蒙古


アメリカこぼれ話 38
JN協会理事 北村 嵩 (元 JTB取締役)

「マックバーガーのルーツは蒙古」

 世界中で人気のファーストフード店「マクドナルド」の1号店は
1955年にシカゴでオープンしたが、このチェーンの元祖はレイ・
クロックでマクドナルド兄弟ではない。

 創業者のマクドナルド兄弟はカリフォルニアでホットドッグの
屋台を営んでいたが、 1940年にサン・ベルナディノでレストラ
ンを開業した。複数あったメニューのうち売り上げの大部分が
ハンバーガーであることに気がつき、 店を改装してハンバー
ガーのみをスピーディーに販売する方針に変更して大当たり
し、フランチャイズ店を持つまでに成長した。

 これに目を付けたのが店にミルクセーキ用の器具を納入し
てマクドナルド兄弟と面識のあったレイ・クロックで、経営に参
画した後、余り経営に興味がなかった兄弟から経営権を買い
取り、世界にチェーン店を拡大していった。

 2000年現在のレストラン・チェーンのランキングでは 2位の
バーガー・キングや3位のケンタッキー・フライド・チキンを大き
く引き離して1位となっている。 しかし現在のようなハンバー
ガーをパンに挟み込む方式を考え出したのはマクドナルド兄
弟ではなく、1904年のセントルイス世界博覧会の会場で、この
方法で販売して評判になったテキサスの田舎町出身のフレッ
チャー・デイビィスで、彼は後にパートナーと「ホワイト・キャッ
スル」という名前のハンバーガー・チェーンを創立している。

 そもそもハンバーガーの起源は18世紀頃にドイツの港町ハン
ブルグで人気のあったタルタルステーキと言われている。タル
タルステーキは13世紀頃にロシアまで攻め込んだ蒙古系の騎
馬民族が遠征中の食料として羊の屑肉を馬の鞍の下において
走らせ、柔らかくなった生肉を食したもので、ロシアに持ち込ま
れて羊肉を牛肉に代え、 玉ねぎのみじん切りや胡椒、 生卵を
加えて食べやすくしたものである。

 この料理が当時世界の港だったハンブルグに伝わり、更に牛
肉・豚肉の合いびき肉に塩・胡椒・ピクルス・つなぎのパン粉
など入ってほぼ現在のハンバーグの形になったもので、いつか
ら生肉に火を通すようになったかは不明である。

 19世紀になると多くのドイツ人がハンブルグ港からアメリカに
移住し、彼らがよく食べるひき肉料理はアメリカ人に“ハンブル
グ風ステーキ”すなわちハンバーグステーキと呼ばれるように
なったのである。




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posted by JN01 at 11:38| 連載:アメリカこぼれ話